しまつの部屋

文章書いたり4コマ漫画描いたりしてます。よろしくお願いします。twitter→@Shimatsu916

【テキスト】電脳人間 太郎&花子

私は現在システムの開発、保守をする会社に勤めているのだが、開発の工程の中に「テスト」というものがある。

 

新しい機能を実装した場合ならばその機能にバグがないか確認するし、既にリリースしたもので不具合報告があり、その不具合を修正した際に「ちゃんと修正できてるよね?」というのを確認する。


その名称から想像できるかもしれないが、簡単に言ってしまえばシステムに不具合がないか調べる作業だ。

 

私もこの工程を経験したことがあるのだが、データを取り込み、その結果が正しいものかを確認するようなテストをしていたときのこと。


テストというのは取り込んだデータが正確に表示されていることも重要なのだが、あえて間違ったデータを取り込んだときにシステムがそれを認識しているかどうかも確認する必要がある。

 

そこで、例えば太郎と花子という架空の人物をつくり、太郎は正しいデータ、花子は誤ったデータをあえて設定し、取り込んだときにそれぞれどのように表示されるかを確認する。

 

微妙に条件を変えつつ、毎日そんなことをやっているのだが、するとどうだろう。この架空の人物、太郎と花子に対してだんだんと感情が芽生えてくるではないか。


「太郎、お前は今日も正しい結果が表示されているな。」「花子、お前またここが間違っているな。注意しろよ。」
毎日毎日私の眼前に出てくる太郎と花子。何だか自分の息子娘のように思えてくる。

 

しかし彼らは所詮はデータ。テスト環境のクリーンアップのため、データを消さねばならないときがあり、それはつまり彼らとの別れを意味している。

待ってくれ。一体彼らが何をしたっていうんだ。私は何をされてもいい。太郎と花子だけは許してやってくれませんか…!

 

そんな私の訴えは虚しく、環境はクリーンアップされた。
太郎…!花子…!

 

 

 

私は疲れているのかもしれない。